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出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】

第7章 第7話


「おーい弾バカー」

通学路を歩いていると、後ろから槍バカの声が聞こえた。

「よう」

背中をボンと押され振り向くといつもの飄々とした顔が見えた。

「あれ、めずらしくすっきりした顔してんじゃん?さては何かあったな?」

こいつも太刀川さんも、こういうことになると勘が鋭いよな…。

「バーカなんもねーよ」

「またまたぁ。マミアちゃんに会えたか?」

「…日向の話はすんな」

「なんだよ、まーだ行ってねーのか?」

探られても面倒だ。

こいつに説明する必要はないだろう。

「つーかお前課題やってきたのか?昨日三輪隊防衛任務だったろ?」

「あっ!そうそれそれ!任務のせいでまともにできなくてよ。見せろ!」

とにかく、バレないようにしないとな。




教室に着くと、すでに日向が席についていた。

昨日のように真っ黒で長い髪に黒ぶちの眼鏡。

俺に気づいたのか少しこちらに視線を向けると、わかりやすくサッと目を逸らした。

…いくら任務のためとはいえ、そんなあからさまにやられると心が少しばかり痛む。

俺は気にしたそぶりを見せないよう自然な動きで席に着いた。

横目で日向を見てみると、必死にスマホで何かを打ち込んでいた。

「あーあの!」

米屋が誰かに声をかけた。

誰にかけてるのかと声の聞こえた右斜め後ろを振り向くと、

「あっ…はい、なんですか?」

日向に声をかけていた。

「急にこんなこと言うの変だとは思うけど…名前、聞いてもいい?」

…はぁ?

「いやいや申し訳ない、俺一応クラスメイトの名前は全員覚えてるはずだったんだけど君だけ思い出せなくてさ。あー、気悪くしたら悪い」

槍バカのやつ…まだ日向のこと疑ってたのか。

一応日向が監視役として派遣された件は、学校側にも話は行ってるらしい。

だから先生からは前からいた生徒として扱われるし、授業中に当てられることもない。

まあもちろん生徒には伝わってないから、槍バカみたいに勘のいいやつには疑われても仕方ない。
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