第8章 餓え
ウィーダは叫び声をあげると、うずくまって喉を抑え始めた。
マルク:「っ!変化か……。時間がないな。」
キサラ:「変化って……。」
マルク:「血に飢えすぎたヴァンパイアはヴァンパイアじゃなくなる。まるで悪魔のように黒い肌になって、人肉をむさぼる。そうなる前に、ウィーダを気絶させる。時間稼ぎにはなるだろう。」
そう言うと右手を突き出し、目の前に一瞬で氷の壁を作りだす。
左手には火がめらめらと燃え盛り、マルクの視線はウィーダへと向けられた。
キサラ:「待ってっ!お願いが、あるの。」
キサラの制止の声を聴いて、マルクは左手の火を握り消す。
マルク:「何を、すればいい?」
マルクの問いにキサラは真っ直ぐな視線を向けてこう言った。
キサラ:「私を、守って。」