第8章 餓え
時間をかけてようやくウィーダが居る部屋の扉の前まで辿り着いた。
マルクが扉に手を掛けようとした時だった。
バキィッッ!!!
と激しい音と共にイリアが扉ごとぶっ飛んできた。
イリア:「うっ……!げほっ!」
マルク:「イリア?!大丈夫かっ!」
イリアに駆け寄り、彼女を支えた手は、血だらけになっていた。
キサラは自分の服のスカーフを手に取り、駆け寄ると素早く出血しているところに布を巻いていく。
キサラ:「イリアさん。動かないでくださいね。出血がひどいから動けば動くほど血が足りなくなりますから。私が、貴女の事必ず助けて見せるわ。」
キサラの言葉を聞くと、イリアは安心したように意識を手放した。
マルク:「ガイタス。イリアを頼む。僕はキサラと一緒にウィーダを止める。」
スッと立ち上がったマルクは血の付いた手の平を悔し気に見つめた後、イリアとガイタスを囲うように氷の壁を作り出した。
マルク:「……キサラ。力を貸してほしい。」
キサラ:「もちろんよ。」
マルクの手を取り、部屋の中へと足を踏み入れると、うめき声のようなものが聞こえた。
声のする方へ視線を向けると、暴走を必死に止めようと抗っているウィーダの姿が見えた。
マルク:「ウィーダ。」
一歩近づこうとするマルクに、ウィーダは「来るなっっ!!」と大声で側によることを制止した。
ウィーダ:「うあぁぁぁっっ!!!!」