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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第21章 もう一度ここから





『あのね、百。私が初めて一生懸命をしたのはね、天じゃない。……百だったんだよ。』


「―――……!」

『確かに、天のことを、全部完璧に忘れられたわけじゃない。完全に忘れるなんて、これからもたぶん無理だと思う。すごい勝手だってわかってる、でも――』



―――それでも。



『私は百と一緒に、百の隣で、生きていきたい。それはあの日、百が想いを告げてくれた時から変わってない。でもね、一つだけ、変わったことがあるの』

「………」

『…百のこと、友達として好きなんじゃなくて。ひとりの男の人として好きなんだって、ちゃんとわかったってこと』

「え……?」

『好きだよ、百のことが。録音なんて必要ない、百が望むなら、何度だって言うよ。あなたを愛してる。誰よりも、何よりも」

「―――・・・」



――――目の前に、涙ぐみながら笑う零がいる。



君越しに目に入る景色は、いつだってどれも全部、色鮮やかで


世界はこんなにも綺麗だったのか、と思い知らされる



困ったように笑う君の笑顔は、目も当てられないくらい綺麗で、眩しくて


涙で視界が滲んでいく


景色がぼやけていくのに君の笑顔だけははっきりと、オレの心に、頭に、刻まれていて


眩しくて、優しくて、なんだかすごく幸せで


胸の奥が熱くなる。



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