第13章 餞別
〖林藤さんの言った通り、俺は話があってここに来ました。1人1人に話したい所なんだけど、時間が無いんで.....迅、お前だけここに残ってくれ。他の人は外で待機しててほしい〗
未来が変わったらしい。最初は小南やレイジさん、風間さんに話していて、俺に話しかける未来は無かったのに…。
城「全員一旦出ろ。迅、話が済んだら呼んでくれ」
俺「わかりました」
そう言って全員が部屋を出る。
〖では、話そう。お前も知っての通り、明希には2つSEがある。それについて聞きたい事、謝りたい事があるんだ〗
俺「何?」
〖明希が2週間前に倒れた原因が、SEの暴走なのは迅も知っていると思う。そして、迅がボーダーに入る前に1度倒れた事も城戸さんから聞いて知っていると思う。ここで、1つ迅に聞きたい。明希は小学校に上がる前に、1度でも倒れた事はあったか?〗
俺「...なかったと思う」
小さい時の記憶だから少し曖昧だが、もし明希が倒れていたらすぐにわかる。
〖やっぱりな...〗
俺「どういう事?」
〖明希が倒れたのは、俺が黒トリガーになったにも関わらず、こうやって生きていたからだよ〗
俺「...は?」
〖えっとだな、1回目に倒れた時のアレは、初めての実践で明希が緊張し過ぎて、無意識のうちにSEの制御が疎かになってしまったんだ。実際に、俺が黒トリガーになるまでにはその1回しか倒れていない。だけど、俺が黒トリガーになってからは数ヶ月に1回、SEが暴走して倒れるようになった。今回のは明希がフルに使った反動でなったが、俺が黒トリガーになった時に倒れた事も踏まえると、やっぱり原因は俺なんだ〗
だからごめん。と進さんが謝る。謝りたい事とその内容は分かった。けど、
俺「何で俺だけにその話をしたの?」
〖これだけじゃないんだ。さっきの話を踏まえて、本題を聞いてほしい〗
そう言った進さんの放つ光が再び光度を落とす。
〖俺は明希が目覚める時には消えようと思ってる。だからその時に、明希の"自分の心を読ませるSE"を消そうと思う。お前に残って貰ったのは、それを手伝って貰うためだ〗