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モデルのボーダー隊員【ワールドトリガー】

第13章 餞別


*迅視点

部屋に入ると、忍田さんとボスが人数の多さに驚いていたが、城戸さんはそれを微塵も感じ取らせずに、俺たちを極秘通路に案内した。2組に別れてエレベーターに乗って地下へ降りる。
全員が着いたのを確認して奥へ進む。最初は明るかった廊下がだんだんと暗くなっていく。そして、城戸さんが足を止めて例の部屋の鍵を開け、全員中に入る。
部屋の右奥にあるシングルベッド。そこには2週間前よりも少し痩せた明希が眠っている。
その明希の様子に何人かの息を呑む音が聞こえる。

♢♢

*進視点

多勢の人間の気配を感じる。俺が思っていたよりも多く来ているらしい。本当に明希は愛されてるな。
〖明希、約束通り少しだけ話をしてくる。終わったらすぐに戻ってくるから、待っててくれ〗

"わかった。行ってらっしゃい"

優しく微笑む明希に連られ、自分も自然と優しい笑になる。
〖あぁ。行ってくる〗

♢♢

*迅視点

突然、明希の身体が光り始めた。全員が警戒態勢に入ろうとしたため、「構えなくて大丈夫だよ」と落ち着いた声で言うと警戒態勢を解いた。
光が止むと、先程よりも小さな白く淡い光を放った人らしきものが宙に浮かんでいる。すると、低く心地よい声が部屋に響く。

〖こんにちは。現ボーダーの皆さん〗

そう言った白い光に城戸さんが問う。

城「誰だ」
〖あ、城戸さん。お久しぶりです。俺の事覚えてませんか?〗

問われた城戸さんは首を捻っている。姿がハッキリしていないのに、声だけで当てろと言うのは流石に難しい。
しかし、わかる人間はいた。

風「兄さん...?」
林「進か?」

その言葉にその場の全員が驚く。俺も驚いた。まさか、進さんが出てくるなんて思わなかった。

〖蒼也と林藤さん。久しぶり〗
風「あ、あぁ...」
林「...マジで進なのか?」

戸惑う2人に肯定して、その流れで自己紹介(?)をする。

〖初めましての人、俺の名は風間進。ここにいる風間蒼也の兄で林藤さんの弟子だ。そして、今眠っている明希の黒トリガーになった人間だ〗

黒トリガーと聞いて数名が唖然とする。黒トリガーになった人間は死ぬのだから、こうやって話しているのがおかしいのだ。

林「それより進、何か話があって出てきたんだろ?」

復活したボスが進さんに聞く。聞かれた本人は光の光度を少し落とし、ゆっくりと話し始めたた。
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