第12章 過去

＊明希視点


"僕が特別ってどういう...＂

〖明希は、俺が黒トリガーになったの自分のせいだって思ってるけど、あれは俺の不注意だ〗

"でも！あの場所で留まってなかったら、進さんは助かってたんだよ？"

〖相手はモールモッドだ。あの場で気付いてても、弧月を出す前に貫かれてた。どっちにしても、死んでたんだ〗

"そんな..."

〖だから、せめて明希の傍で一緒に戦いたい。明希を守りたいって思って黒トリガーになった。明希を酷く泣かせてしまったけど、俺は間違ってなかったと思う。こうやって、もう1回話す事も出来たしね〗


♢♢

＊迅視点


明希が眠って1週間。
どんどん鮮明に見えてくる。白く光る何かの奥に明希が眠っている。小南とその何かが話をしているようだ。会話の内容まではわからないが、少しギスギスしているのが伝わって来る。
人数についてはまた増えた。風間さん・諏訪さん・太刀川さん・二宮さん・東さん・小佐野...うん、やっぱり多いや。でも、これだけの人に大切にされてるって事だよね。
明希は信じてる人にしか甘えないし、素の自分を見せないけど、もっと周りに目を向けて頼って欲しいな。秀次や出水にそうしたように、ボーダーには頼れる人が沢山いるんだから。
...そろそろボスに伝えよう。恐らく、今週中にこの未来が訪れる。
みんなお前を待ってる。早く起きてよ


寝坊助(明希)

♢♢

＊太刀川視点


久しぶりに二宮と個人ランク戦をした後、2人で喋りながらラウンジに行くと、17歳組男子が集まって何か話をしていた。

三「何か目ぼしい情報はあったか？」
出「太刀川さんに聞いても『知ってたらこっちから突撃してるぜ』って言われた」
俺「俺がどうした〜？」
米「うわっ！太刀川さん！」
辻「二宮さんも...」
二「辻、何の話をしてたんだ？」
辻「えっと...」
奈「藤咲明希と言う人物はご存知ですよね？」

辻の代わりに奈良坂が説明する。ここ1週間姿を見ていないから宇佐美に電話で聞いたが、濁されて終わった為、何かあると思って調べているという事らしい。

俺「成程なぁ」
奈「他にも色んな人に聞いたんですが、目ぼしい物は何もなくて。ただ、当真さんが1つ気になる事を言ってました」
二「言ってみろ」
奈「なんでも、影浦先輩と村上先輩のSEが本部にいる時だけ効かないらしいんです」