第2章 はじめての時間
崖の淵に斜めに生えている木の幹に、カルマくんが座していた。視線がぶつかりそうになって私は先生の背に隠れる。
「先生ってさ、命をかけて生徒を守ってくれる人?」
「もちろん。先生ですから」
「よかった。なら、殺せるよ」
先生の後ろから顔を覗かせると、カルマくんが対先生用の拳銃を構えていた。
視界も思考も真っ白になって、気がついたら落ちてしまうギリギリの所にいた。木の幹にいたはずのカルマくんは拳銃を構えたまま落下している。慌てて手を伸ばした。けど、届かない。
崖を構成していた岩がゴロゴロ転がって、足場を崩す。
あ、私も落ちちゃう。と思った。だけどもう間に合わない。
全てがスローモーションのようにみえた。
目を閉じて、開ける。背中にネバネバした感触。
生きてる……?
カルマくんと先生が会話してたけど脱力感に包まれて頭が追いつかなくて、しばらくネバネバを楽しんでいた。
先生にまた、助けられちゃった。
「さあカルマくんはともりさん。先生の触手に捕まって。上へ引き上げますよ」
「うん!」
ひんやりした触手に頬を寄せた。
私は、どうしたら先生を助けられるのかな。