第2章 はじめての時間
六時間目の小テスト。私はやる気を削がれていた。
カルマくんのおかげで先生との会話は中断しちゃったし、本気で先生を殺そうとしているし、先生のジェラート食べちゃうし、おまけに隣の席で。やり場のない怒りがこみ上げていた。
次の日からもカルマくんは事あるごとに先生に暗殺を仕掛けては逆に手入れをされていた。
教卓にタコが突き刺されていた時は単刀直入に言ってムカついた。そのタコは先生が調理してたこ焼きになった。私も食べたかったのに、ずるい。
そうして一日先生はカルマくんに構いっぱなしだった。
放課後になってようやく、先生と二人で話すことができた。
「腕、痛くない?」
「ええ。多少の痛みはありましたがあれぐらいすぐに再生できるので問題ないです」
「なら、良かった」
弾けるようにもげた先生の触手は、もうすっかり元通りになっていた。傷痕ひとつない。
「先生今からカルマくんの所に行きます」
――また、カルマくん。
幼稚な嫉妬心に支配されてつい、
「私も行く」
なんて言ってしまった。自ら、クラスメイトの元へ。
先生はちょっとだけ目を見開いたようだった。
別に仲良くしたいわけじゃないし、何かを求めてもいない。だから何も失わない。そう割り切って、先生の隣を歩いた。