第22章 共同作戦
入団時期こそナナバの方が後だが、年齢が近いせいか、任務を離れた時間にはこうしてラフに話をする事も多い。
それにアゲハがエルヴィンと特別な関係だと知る数少ない古株の兵士でもある。
「私は心配。」
『ミケは死なないよ。強いもん。』
「なっ?!」
してやったり、とアゲハは笑う。
どうやらナナバは隠せていると思っていたのだろうが、彼女がミケに特別な感情を持っている事にアゲハは気が付いていた。
こうして眺めていても見えるはずが無いのに、ここを動く事が出来ない。
調査兵団本隊の帰還予定は明日。
過去の壁外調査とは違い、地図もある。
シガンシナ区の扉を壊された後、そこからどれ程の数の巨人が侵入しているのかを調査するのが今回の目的。未知の地を調査するのとは違う。
「もどかしいものです。待つ事は。」
『そうだね。次は私達も外に出て、やっぱり近くで戦いたいね。』
アゲハの言葉にナナバは笑顔で頷いた。
ほんのひと時、兵士から女の子の表情を浮かべた二人の頬が赤くなったのは夕日のせいだろう。
今夜はトロスト区内の駐屯兵団の兵舎の中に部屋をピクシス司令が用意してくれている。
二人以外はすでにそこで休息を取っているはずだ。
本隊が帰還する為に扉が開かれる際は、駐屯兵団の援護砲撃は一切行わない事になっている。
帰還時には殿を務める特別作戦班とその場の状況で連携しなければならない。
『明日は今日よりもハードだろうし、私達もそろそろ休もうか。』
「そうですね。」
心身共に疲れがあったおかげでその夜はすぐに眠る事が出来た。