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名の無い関係

第22章 共同作戦


仮に奇行種ばかりが扉に集まったとしても討伐出来る兵士が後援部隊に残ったのだ。


『それに、向こうにはリヴァイがいますからね。』

「あぁ、噂の人類最強君か。」


ピクシス司令の視線がその姿を探す。


「やっほー!アゲハ、ちょっと行ってくるねー!」


馬上から視線に気が付いたのか、はしゃいで手を振ったのはリヴァイではなく彼の隣にいたハンジだった。
ピリピリした緊張感を壊すような明るい声にアゲハも答えるように手を振った。


「ハハハッ!調査兵団の女性は強いなぁ!」

『そうですね、では私達もそろそろ。』


アゲハはそう言うと後ろに控えていた部下達に合図を出した。


「お手並み拝見といこうかね。」


ピクシス司令はどこか楽しそうにも見える。
扉がゆっくりと開き、下でもエルヴィンの声に兵達が答えるように声を上げ、彼等を乗せた馬達が一斉に走り出した。
先頭を走るエルヴィンを乗せた馬の横を真っ直ぐにワイヤーが飛ぶ。
調査兵団本隊を守る為に壁上から飛び出したアゲハ率いる後援部隊は、砲弾を免れた巨人達を次々に討伐していく。
見事に一撃必殺で飛び回る姿は、まさに翼を持っているかのよう。
砲撃を一時中断する様に命じたピクシスは、飛び回る彼女達の姿に見入っていた。
人類はまだまだ戦える、いや、勝つ事だって出来る。
失ったマリアの地を取り戻すだけではなく、地上全てを人類の手に取り戻せる日も近いと感じてくる。


「人類の希望となる人類最強の力か。本当にいい部下を得ているな。」


無事に本隊が先行していた無人の荷馬車に合流、巨人の被害を受ける事なく通過。
壁内にも巨人の侵入はなかった。
一先ず、駐屯兵団と調査兵団の初の共同作戦は成功した。
アゲハを含む後援部隊も誰一人欠ける事なく、無事に帰還した。


「大丈夫だよ。」

『え?』


陽が傾き始め、真っ青に真っ白な雲が浮かんでいた空がオレンジ色に侵食され始めていた。
そんな光景を壁上で眺めていたアゲハにナナバは声を掛けた。
今回、アゲハと一緒に後援部隊として内地に残っていた。


「本当は一緒に行きたかったんでしょ?」

『まぁね。でも今はワガママを言える立場じゃないからさ。』
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