第3章 始まり
それから日向くんと影山くんの行方
が気になった私は、清水さんにこと
わってから2人を探しに出た
日向くんと影山くんは体育館のすぐ
近くで何やら言い合いをしていた
「どうすんだ?多分、2人でいかないと門前払いだぞ」
「バレーボール···やれるなら」
なんとなく今は声をかけづらくって
物陰で2人の会話に耳を澄ます
「ちょっとくらい嫌なことだって俺は我慢出来る!お前がどんだけ嫌なやつでも、極力視界に入れないように頑張る!」
「こっちのセリフだ!馬鹿野郎!!」
『(ひ、日向くん?!なんて素直なの!?)』
日向くんの言葉にくらっときて1歩後ず
さるとパキッと小枝を踏んだ音が鳴る
その音に日向くんも影山くんも振り返る
「あっ!せりあ!!」
「?」
日向くんに指をさされておずおずと2人
の前までやってきた
「せりあ?お前の知り合いか?」
「まあな!せりあも “小さな巨人”に憧れて烏野に来たんだぞ!」
『初めまして。妃 、せりあです』
「へー···ん?待てよ? せりあ···どっかで聞い····あっ!!!」
突然大声を出した影山くんに日向くん
は両耳を塞いでいる
「何だよ影山~!いきなり大声出すなよな!」
日向くんの言葉なんてまるで聞いていな
い影山くんは私を指さして口をパクパク
させている
その様子を見て日向くんが首を傾げている
「んんん?おーい、影山?影山くん?おーさまー?」
最後の言葉に影山くんがピクッと反応して
日向くんの頭を鷲掴みする
「おい···その名前で俺を呼ぶんじゃねぇ」
「い"っ!い"だだだだっ!離せ!痛ぇ!!頭割れる!」
「チッ」
影山くんの手から解放された日向くんは
頭を抑えて地面をゴロゴロと転がる
そんな日向くんには目もくれず、影山く
んは私のことをジッと見ている
「おい、お前・・・」
『・・・・は、はい』
ギッと睨まれたかと思うと影山くんの瞳
はキラキラと輝いた
「中学んとき全国ベスト8だったあの妃 せりあだろ?!!俺、あんときのお前の試合見てて!あの流れるようなセットアップ!それから」
「うおおおお!!凄ェ!せりあ、お前そんな凄ェ奴だったのか?!」
『あ···えっと、まぁ』
さっきまでの空気が嘘みたいに2人共
両目をキラキラとさせて私を見ている