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アサガオの花

第4章 3対3



体育館に戻ると既に練習が始まっていた

私は作ったドリンクを壁際に置いて
練習を見学することにした


しばらく練習を見ているとそれぞれの
癖みたいなのも見えてくる


田中さんはスパイクを打つとき左手の軸が少しだけど下がり気味だな、とか

菅原さんのトスは安定してるけど
肘をもう少し中に入れた方が良いんじゃないかな、とか

月島くんはレシーブが苦手なんだな、とか

記録したい。


そう思ってからの行動は早かった

体育館を出て、部室へと向かう


以前部室を掃除してたときに見つけたあのノート

“蛇の道はヘビ”

あれが役に立つときがきた


ノートを手に取ると体育館に戻った

みんなは休憩中だった


「さりあさんっ!お姿が見えないと思ったらどこに行ってたんですか?!」

「妃さん、その手に持ってるのは?」


こちらに飛びついてきそうな田中さんを抑えながら菅原さんがノートを持つ私の手を指さした


『あの、ご迷惑でなければ皆さんのプレイ中の癖とか色々、記録しようかなと思いまして...』


沈黙。
いつも大声を挙げている田中さんですら言葉を発しない

もしかして私、すっごい余計なお世話だったかも…


『す、すみませんっ!ご迷惑ですよね?!今の忘れてくださいっ』

深々と頭を下げる

以前澤村さんに外から見て気づいたことがあれば何でも言ってほしいって言われたけど
こんなことしたらさすがに迷惑だよね。
私ったら恥ずかしいっ

ポン、と私の肩に大きい手が置かれた


「妃さん。」


澤村さんの低い声。少し怖い。

恐る恐る顔を上げる


『あ・・・』


そこにはニッと笑っている澤村さんと
目を輝かせている皆さんの姿が映った
(月島くんを除いて)


「あざす!!」

「「「あざーっす!」」」
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