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アサガオの花

第3章 始まり



「あの試合見て、俺もお前みたいなセットアップ出来ねーかなって練習したんだけど、なかなか上手くいなくて」

「何だと!?影山でも出来ないこと、せりあは出来るのか?!」

『あの···えっと····』

「だから!お前のセットアップ、俺に教えてくれっ!!」

「おい影山ずりーぞ!せりあ!俺にも教えてくれ!」

「お前はセッターじゃねーだろ!!そもそもお前はあの下手くそレシーブなんとかしろよ!」

「なんだとぉぉおお!!」


取っ組み合いが始まった

お互いに胸ぐらを掴んだり、怒鳴り声を
上げたり傍から見たら喧嘩だ

こんなところ誰かに見られたら2人が誤
解されてしまう

よし、と私は両手を握りしめて大きく
息を吸った


『ストーーーーーップ!!日向くんも影山くんも落ち着いて?!』


私の声に2人の動きがピタッと止まる


「「教えてくれるのか?!」」


あ、ハモってる。
実はこの2人って息が合ってたり···?


『実は私、バレーは中学で辞めたの···』

「「!!?」」


さあっと風が吹いて髪が流れる
その髪をかきあげて耳にかけると私は
2人に向かって事故のことや推薦がな
くなった話しをした


『だから···もう、プレイは出来ない。ゴメンね···』


今までずっと下を向いて話していたが、
話しが終わったのと同時に顔を上げる
と日向くんも影山くんもポカンとして
いた


『え?あの、2人とも?』


私の言葉に日向くんが静かに口を開いた


「事故とかケガは仕方ないけど、それでせりあのバレーが終わった訳じゃないだろ?」

「日向の言う通りだ。まだ何も終わっちゃいねぇ」

『・・・え?』

「せりあはまだバレーが好きなんだろ?」

『う、うん』

「だったら諦めることは何もない!俺達と一緒にもう一度バレーをやろう!」


バッと日向くんが私に向けて手を差し
伸べてくる

それを見た影山くんも右手を出した



私のバレーは何も終わっていない?

故障でプレイが出来ないのに?
もう、あの頃の私はいないのに?

頭の中がハテナでいっぱいになるが、
ひとつだけ確かなことがある


私はバレーボールが大好き


一緒にバレーをやろうと言ってくれた日向くん
セットアップを教えて欲しいと言ってくれた影山くん


2人の思いを胸に
日向くんと影山くんの手を取った



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