【黒子のバスケ】それはいっそ悪夢のよう【緑間真太郎】
第4章 1度目は僅かな希望に縋り
「く…く…おは朝に…なのだよ…ちょ、なんなのその語尾ww」
「たーかーおー!!」
未だ治らない笑いに体を震わせながら荒い呼吸を繰り返す高尾に今度は俺が震えた、怒りでだ!
初対面の時にも思ったが本当に軽薄そうな男なのだよ
要も高尾にどう接すれば良いか分からずオロオロと俺と高尾を交互に見ていた
「要、こいつはほっとくのだよ。さっさと体育館に行くぞ」
『えっ、でも大丈夫かよ!?呼吸できてねぇぞ?』
「少なからず俺は笑い過ぎで死んだ人間を見た事がないのだよ」
呼吸もままならない程笑う高尾に心配になった要は彼奴の顔を覗き込むように様子を伺っている
その距離がやたらと近くて、また俺に以前感じた事のある胸の痛みが走った
…なんなのだよ…この痛みは
「っ…俺は先に行く。お前らは勝手にしろ」
『あっ、ちょっと!緑間!?』
原因不明の痛みから解放されたくて要が呼び止める声も無視して早足で体育館まで向かう
やはり高尾と要が揃うとイライラする
だいたい要は前から人との距離が近いのだよ
全く危機感というものがない!無防備すぎる
何度注意しても全く理解できない馬鹿なあいつとよく言い争いをしていた気がする
『…ま!!』
それにしても俺はなんでこんなにも苛ついているのだろうか
『…りま!!』
早く忘れたいのだよ
『緑間!!待てよ!』
「…!!」
いきなり後ろから何者かに大声で呼ばれたのち腰あたりを抱きつかれた
勢いよく振り返えると20㎝程下辺りにまるで尻尾のように纏められた黒い髪が見える
するとその髪の人物が顔を上げた
まぁ予想通りというかやはり俺に抱きついてきた人物は要だった
『良かった!やっと捕まえたぜー緑間歩くの早すぎ』
「オイ!何抱きついてるのだよ!!離れろ」
『嫌だ!だって離しちまったら緑間また私置いて行くだろ!!
なぁ緑間、私なにかしたか?何で怒ってるんだ?』
俺を逃がさんばかりに強く抱きついてくる要の顔は何故か必死で、それを見た俺は先程まで膨れ上がっていった謎の苛立ちがみるみると萎んでいくのが分かった
全く…俺もなんて不甲斐ないのだろうか