第5章 近づく心
手に持っていた着替えとタオル。
そのどちらもをアイリーンの頭にボフっと乗せると、リヴァイはそのまま視界を奪われたアイリーンの手を取って歩き出す。
いきなりの事にまた従ってしまうアイリーンは、いつの間にか部屋のような場所へと押し込められる。
「え、もしかして……」
頭に掛かったままのお風呂セットを取ってその部屋を見ると、明らかに脱衣所だった。
隣へと視線を向ければそこはもう、シャワー室。
驚いてリヴァイのほうへと顔を向けると、未だに険しい顔つきでこちらを見るリヴァイと目が合ってしまった。
キラリと光る三白眼は、射貫くようにこちらへと向けられている…。
気がしてるだけだけど。
「使ったやつは下の籠へ入れておけ。あとは好きに使え。」
これで話は終わりだ。
そう態度で示して、呆気にとられているアイリーンを置いて扉くを閉めていく。
「………ちゃんとシャワー浴びとけ。」
閉める直前に、低く響いた声に怒りは混じっていなかった。
けれど、アイリーンにはまるで最終通告のような恐怖の声にしか聞こえず、ビクっと体が反応を示してしまう。
「…やばい。入らないと絞められそう」
そんなこと、リヴァイはしないだろう。
と少し考えればわかりそうな事でも、すっかり混乱してしまったアイリーンの頭では今は理解できず。
急いでシャワー室へと向かった。