第5章 近づく心
「ハ、ハンジさんと一緒にずっといるからと言って、流石にお風呂だけはキチンと入ってますよぉ……」
ハンジに似てきたのか、と言わんばかりのリヴァイの顔に
アイリーンは混乱した頭のまま何とか否定の言葉を捻りだした。
そりゃぁ研究に没頭して、1日くらい忘れることはあるかもしれないけれど…
と、心の中で付け足したのは、秘密だけど。
「ならいい。ほら、さっさと風呂に行け。俺も後から使うから。」
「え、やっぱりここのお風呂を使えって意味なんですか!?」
「当たり前だ。浴場までは遠いだろうが。」
さも当然のようにこちらにお風呂セットを寄越すリヴァイに、アイリーンは顔の前で手をぶんぶん振りながら、それを拒否する。
その行動に、リヴァイはイラっとした顔を隠そうともしない。
確かにここ本館から浴場は遠い。
なにせ一般兵の寝所がある別館に設置してあるからだ。
だとしても、行けない距離ではないし。
というか自室へと帰れば万事解決では……?
というか帰してください………!
「流石に無理ですよ…!自室に帰りますから!」
「煩い。さっさと入れ。」
「無理ですよぉぉ………」
切実な願いも届かず、いつまでも否定の言葉を続けるアイリーンに、リヴァイはズッとその足を近づけてくる。