第5章 近づく心
「えっと…?今からお風呂にでも行かれるのですか?」
タオルと着替え。
この二つから連想されるのは、ずばりお風呂。
いつもタオルと簡単な着替えを持って、ハンジにお風呂を強要しているアイリーンは、少しだけ眉根を寄せてそれを見た。
「俺じゃない。お前のだ。」
「…………………はい?」
何を言っているのか、本当に理解が出来なかった。
いや、今も理解出来ずにいるのだが。
ここ本館では、幹部の方達が個別の部屋をもらい、生活している。
その個室には簡単なシャワーも取り付けられている。
もちろん、アイリーン等の一般兵にはそんな贅沢な設備はないのだが。
「えっと、何もリヴァイさんの私物を貸していただかなくても、部屋に戻ればタオルくらい…」
「何を言っている。ここの風呂を使えばいいだろう。」
「………はい!?」
どうしてわざわざリヴァイの部屋に来てまで、私物を貸すのか?
それが分からず問うと、思いもかけない言葉が返ってきた。
アイリーンが更に理解が出来ずに戸惑う中、リヴァイは
まぁ湯を沸かすのは面倒だから、シャワーだけでもいいだろう。
と的外れな言葉を繋げる。
……いやいや、気にしているのはそこじゃない!!
お風呂でもシャワーでもどっちてもいい!!
だって、シャワーを浴びろ。と言って私物の着替えとタオルを渡す。
そしてここにはリヴァイさん用のシャワー室がある。
……絶対に浴場に行けとかそんなんじゃなくて、ここでシャワーをしろと言っている事になる………
「む、無理ですよっ!そんな、だって、……え?いや」
「汗掻いて気持ち悪いだろう。…まさか、そのままの状態で眠るつもりなのか?」
「……はい!?」
ますます訳のわからない言葉を投げてくるリヴァイに、アイリーンの頭は考えるのを辞めたくなっていた。