第14章 お手伝いする管理人

「『え…』」



もう既に私はドキドキしすぎで台本読むどころじゃ無くなってるけど、なんとか頑張ってセリフを読んでいく。




すると、



掴まれていた私の腕が、夜の方へ引き寄せられた。


気がついた時には、私は夜の腕の中に包まれていた。




「『ずっと、ずっと君のことが好きだった』」





あかん。


これは、あかんで。



「夜っ……！ごめんもう無理…！！」



｢……？っわああ！！こはねごめんっっ！！」



顔がもうゆでダコ状態の私をみた夜は、慌てて抱きしめていた腕を離す。



「ごごごごめん…！！つい役に入り込んじゃって…！！なんとお詫びしたら良いか…！！」



すっかり【春彦】から夜に戻ったのか、夜も顔を真っ赤にしながら私に謝罪をする。



「いや、私も台本読みのはずが本当にドキドキしちゃって、まじですんません」



「いや！さっきので、セリフも最後だったし！こはねのおかげで本当に助かったよ！！」





「…………」



「…………本当にごめんね、こはね」




やばいな…


このままだと変にお互い意識しちゃって、夜と気まずくなるかも…それは嫌だ。


…って何かさっきのドラマみたいな事言ってるな私。



よし、ここは…




「……くれるなら」



「え？」



「今度また夜の美味しいご飯持ってきてくれるなら許す！」




私の突然の言葉に夜は一瞬呆気にとられていたが、すぐに言葉を返す。




「えっ！あ、うん！！分かった！！絶対に持っていく！！」




…夜も後でズルズル引きずらないように、何となくこういう形で終わらせるのが1番いい気がした。




そして後日、夜は約束通りご飯を作ってきてくれて私はそれを美味しく頂きましたとさ。