第14章 お手伝いする管理人
「おっけー。あらすじは何となく確認したよ」
「ありがとう。じゃあ、これ今回の台本。俺はもうセリフ覚えたから、こはねが持ってて」
「了解。どこから始める??」
「えっと、じゃあ48ページからお願いしてもいい?」
「了解!48ページ48ページっと…」
私は、夜に指定された48ページを開く。
「おっけ、開いたよ」
「ありがとう。じゃあ、立って読み合わせしてもいい?動きもつけてやりたくて…」
「了解~」
私と夜は立ち上がって、向かい合う。
そして夜はすうっと目を閉じ、開く。
すごい、夜の目が変わった…
優しい雰囲気は変わらないんだけど、いつもと何かが違う。
素人の私でも分かるくらいだ。相当すごいんだろう。
よしっ、私も夜の手伝い頑張るぞ…!
「『春彦は、本当に優しいね』」
私のセリフから読み合わせが始まる。
途中からだから、いまいち話は読めないけど、どうやら茜と春彦は教室に2人で居るっぽい。
「『茜ちゃん…?』」
「『…春彦、好きな人いるんでしょ?』」
「『えっ…』」
「『だから…私なんかに優しくしちゃ駄目だよ。春彦の恋の邪魔に、なりたくない』」
私がそのセリフを言うと、夜が突然私の腕を掴む。
「っ!?」
「『…そんなこと、言わないで』」
あ、これ台本に【春彦、茜の腕を掴む】書いてあったわ。
突然だったからびっくりしちゃった…すまん夜。
「『俺の好きな人は、君なんだ。茜ちゃん』」
夜が私の目を見てそう告げる。
…いや、演技だって分かってんだけどね。
こうも良い演技で言われると、私の顔に熱が集まってくる。