第3章 早乙女学園
マンションから出るとエントランスに
見慣れた車が止まっている
山田さんの愛車、ラパンだ。
メガネにスーツにと見た目はどこにで
もいる普通のサラリーマンに見えるの
に実は可愛い物好きというんだから面
白い
そのままラパンは私達を乗せて走り出す
「今日は広告の撮影とダンスレッスンだね」
バックミラー越しに私のことを見ながら
今日の予定を言われる
『何の広告?』
「確か今度新発売するチョコレートだったかな。HE★VENSの鳳瑛二さんと一緒みたいだよ」
『瑛二くんと?!』
「ああ。しかも今回はレイジングエンタテイメント社で撮影するみたいだ」
それからも山田さんと仕事の話しをして
いるとラパンはレイジングエンタテイメ
ント社に到着していた
駐車場にラパンを止めて、山田さんの案
内で控室に向かう
途中、ガラス越しのレッスン室を通りか
かるとその中ではHE★VENSの皆さんが
ダンスレッスンをしている最中だった
横を通るとHE★VENS最年少の帝ナギち
ゃんが私に気づいて大きく手を振る
「セリだ!おーーーいっ!」
ナギちゃんに答えるように私も手を振り返す
するとナギちゃんを先頭にHE★VENSの
皆さんがレッスン室から出てくる
『皆さん、お久しぶりです』
HE★VENSとは以前彼らの歌のハモり
役にとレイジング鳳さん直々にオファ
ーをいただいて一緒にレコーディング
をしたことがある
「久しぶりだなぁ、セリ。今日のお前も実にイイ!」
「ほんとセリは可愛いよね!僕の次にっ」
「セリ···会いたかった····」
「セーちゃんっ、久々やなぁ!元気しとったか?」
「星が、またそなたへと導いてくれた」
「よォ、セリ!挨拶がてら勝負しようぜ!」
それぞれに挨拶をすると、ふと瑛二くんの
姿が見えないことに気がついた
『あの、瑛一さん。瑛二くんは···?』
「ああ、瑛二なら今社長に呼ばれて社長室に行っている。おそらくもう少ししたら来るだろう」
「そうだ!ねぇ、セリ!瑛二が来るまで僕らと遊んでよ!」
ナギちゃんに腕を引っ張られて連れて行
かれそうになるがその行く手を綺羅さん
が阻んだ
「セリが、困っている」
「いーじゃん綺羅ぁ!綺羅もセリと遊びたいでしょ?」
ナギちゃんの言葉に無言になる綺羅さん