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好きなだけじゃダメなのか

第4章 疑惑


略装ながらも、薔薇の造花を髪に挿し、
王女の冠をつけて謁見の間へと進む。

「陛下がお待ちです」
「下がってよろしい」

ユラを謁見の間から離し、護衛士に
扉を開けてもらう。

「カノン」

玉座に深く腰掛けた父。
その横には、怒りに頬を紅潮させた母。
私の包帯姿を見て青ざめた弟。

直系の王族が集まっている。

父のいつもと変わらぬ表情に気を取られ
気がつかなかったが、
下座には重臣やらが控えており、
その中には【王の楯】である
ハビル様もいた。

「何故自分が呼ばれたかわかるな?」

王族が重臣の前に呼び出されるのは、
厳重な罪を犯したときだ。

「身に覚えがございません」
「従一位・アデル近衛左軍大将軍の
頬を切りつけた罪は重いですぞ!」
「控えよ、従五位・吏部尚書ナチャ!」

王の大声に尚書が静まり返る。

「それが理由ではない」

母が叩かれたように顔を上げた。

「陛下…?」
「カノン。お前、山に行ったな?」

バレている。
父に隠し事をしても、すぐに見破られて
反逆罪で処刑されるだろう。

「はい」
「誰と会った?」
「新サラント王国、レオン王子と」
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