第1章 小さな秘密
しょせん、片想いなんだから。
そう自分にいいきかせる。
「なぁ、蜜華。」
「何?葵ちゃん。」
「お前って高梨のことが好きなのか?」
混乱する。どうしてそんなことを思ったんだろう。
とにかくいやだ!こんな気持ち葵ちゃんにばれたくない!
「ち、違うよ…」
「じゃあ、何でお前はいつも図書室にいってんだ?」
「本が好きだからだよ!」
「そ、そうか。こっちこそ変なこと聞いて悪かったな…」
「ううん、いいよべつに。」
葵ちゃん、本当に悪いのは私なんだよ。だって、親友の葵ちゃんにもこの気持ちを言えてないんだから。
ごめんね。葵ちゃん。
私が、ルイ君を好きだというのは、誰にも言えないの。私だけの小さな秘密なんだ――。