第1章 帰り道
私は烏野バレー部のマネージャー、
そして1年の月島蛍と付き合ってたりする
いつも通り部活が終わり、彼と一緒に帰るため支度をし蛍のことを呼びに行った。
『けーい、帰ろ~?』私が入口から呼ぶと
龍先輩がにやにやしていて、蛍が小走りで来た
2人並んで歩く帰り道、
いつもと変わらない私たちの雰囲気、
でも最近ふと思う事がある。
(なんで蛍はわたしと帰ってるときもヘッドホンしてんのさ、話したくないのかな)
そう、蛍がずっとヘッドホンをしているという事
別に今に始まった事じゃないから嫌われた、ということではないと思うけど…。
『…私と帰るの嫌なのかな(ボソ)』
いつの間にか考えていた事が口に出ていた
しまったと思ったけどヘッドホンをしている蛍には聞こえない声の大きさだった
少し安心したのと同時にいつのまにか蛍に言いたいことも言えなくなってしまっていた
(このままじゃどんどん話せなくなっていく、思ってること感じてることちゃんと伝えなきゃ)
覚悟を決め蛍に話を切り出そうとした
『ねえk』
「…一緒に帰るの嫌じゃないケド」
私が話しかけるのに被せて蛍がボソっと呟いた
『……え』驚きで言葉が出なかった
それと驚いたのと同時に、
『嘘、聞こえてたの…?』と蛍の方を向くと
ちょっと強引に自分の耳につけていたヘッドホンを私の耳につけた
その拍子に蛍の耳が目に入った、
蛍の耳は少し、少しだけ赤くなっていて私はまた驚きを隠せなかった。
ヘッドホンを耳に付けられてあることに気づいた、
『ねえ、蛍! もしかしてヘッドホンずっと何も流してなかったの…?』
そう、耳に付けられたヘッドホンからなんの音も流れていなくて、ヘッドホンをした状態でも周りの音が聞こえていた。
「当たり前でしょ、彼女と帰ってるんだから」
蛍の口から「彼女」という単語が聞けてただでさえ舞い上がっていたのに、蛍の言葉はまだ続いていて
「それにこの時間は君の声よく聞きたいし」
基本いつもはポーカーフェイスを崩さない蛍だけどこの時は花が綻ぶように笑っていた。