第8章 吸血鬼
「おい!!みやび!おい!!起きろ!!」
私はいつの間にか寝ていたみたいだった。
目を開ければそこには、優がいた。
全身の血が騒ぐ。
美味しそうな血の匂い。
吸血鬼の嗅覚はこんな匂いまで嗅げるのか。
息が荒くなる。
だめだ。このままでは優の血を飲んでしまいそう。
そう思った時はもう遅かった。
私は優に飛びつき、首筋をかじる。
優は驚いた顔を見せたが、すぐに優しい笑顔で言った。
「ごめんな。大丈夫だから、好きなだけ飲め」
優は優しく私を抱いて、頭を撫でる。
とても、落ち着いた。だから、私は冷静になれた。
かじったものの、血は吸わず、顔をあげる。
やっぱり私には血が飲めなかった。
こんな状態になっても、飲むのは嫌だった。