第4章 愛しいだなんて、柄に無く思った
「どう?キャプテン。アクア可愛いでしょ?」
口を開けたままアクアの姿をただ見つめているだけのおれに、ベポは「ほら」とおれの目の前にアクアを押しやった。
無理矢理突き出されたアクアは顔を背けながらも、おれの反応を気にしているようで、目が合う。
「…人形みたいな扱いされたの初めてなんだけど。お世辞くらい言いなさいよ」
相変わらず口を尖らせたまま、更に頬を膨らませるアクア。
あァ、お前ってやつは本当に…
「最高だ。馬子にも衣装ってやつか」
「…それって褒めてるの?それとも馬鹿にしてる?」
「生憎、お世辞は言えねェ性格なんでな」
――――可愛くて仕方ねェよ。
アクアにしか聞こえないトーンでそう呟けば、一瞬で顔を赤らめた。それは化粧で染められたものではないだろう。
そして、消えてしまいそうな小さい声で「…どうも」と聞こえ、おれは再び口角を上げた。
何故なら、その顔にははっきりと笑みを浮かべていたから。
顔は蛸のように赤いまま。
【愛しいだなんて、柄に無く思った】