第3章 もう涙は枯れ果てた
「ん…」
気付けば、部屋の主電灯は消されていて、ソファーの前にあるローテーブルのランプだけが灯っていた。
薄暗い中、この部屋の主を探すと、ソファーの肘置きに見つけたトラファルガーの頭。
本当に自分はソファーで寝て、私にベッドを譲ってくれたんだ。
無理矢理連れて来られたのには変わりなくて、当然の待遇なんだろうけど。
音を立てないようにベッドから抜け出し、ソファーに近付いた。そして眠っているトラファルガーの前に屈んで、顔を覗く。
その寝顔は、日中に見せる不敵さなんて無くて、少しだけ若く、少年のように見えた。
減らず口に可愛げなんてないから、今この瞬間限定なんだけど。
それにしてもよく眠ってる。私が武器を持って殺す気だったらどうするんだ。
てゆうか、この男は一体…
「私をどうしたいのよ」
小さく呟いた。
勿論眠っている相手が返事する筈も無く。一つため息をついて、ベッドに戻ろうと踵を返した。