• テキストサイズ

【外科医】 キミ色に染まる  【完結】

第3章 もう涙は枯れ果てた



「ん…」

 気付けば、部屋の主電灯は消されていて、ソファーの前にあるローテーブルのランプだけが灯っていた。



 薄暗い中、この部屋の主を探すと、ソファーの肘置きに見つけたトラファルガーの頭。

 本当に自分はソファーで寝て、私にベッドを譲ってくれたんだ。
 無理矢理連れて来られたのには変わりなくて、当然の待遇なんだろうけど。




 音を立てないようにベッドから抜け出し、ソファーに近付いた。そして眠っているトラファルガーの前に屈んで、顔を覗く。

 その寝顔は、日中に見せる不敵さなんて無くて、少しだけ若く、少年のように見えた。
 減らず口に可愛げなんてないから、今この瞬間限定なんだけど。



 それにしてもよく眠ってる。私が武器を持って殺す気だったらどうするんだ。

 てゆうか、この男は一体…


「私をどうしたいのよ」

 小さく呟いた。


 勿論眠っている相手が返事する筈も無く。一つため息をついて、ベッドに戻ろうと踵を返した。

/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp