第18章 貴方を愛してしまった
船長室に入れば、いろんな香りのお酒を飲んだというのに、強く主張してくるローの匂いだけがその場を包んでいて。
これで落ち着いてしまえるようになったのは一体いつからだろう。
「よっと…。ロー、もう寝な?」
「…」
ゆっくりベッドの縁に2人で腰を下ろす。
なのに中々動かないローを、無理矢理寝かせようと、彼の肩を強く押した………のに。
「…」
「…」
「……ちょっと」
「なんだ…」
「どうしてこうなった?」
「………さァな」
確かにローをベッドへ押し倒した筈なのに。
気付けば立場が逆転して、何故か私がローを見上げる体制になっていた。
「ねぇ」
「…」
「重いんだけど」
「…うるせェ」
喋るのが気怠いとでも言いたそうなローの声が耳元から聞こえる。私の首筋に顔を埋めた彼から伝わる熱。伸し掛る重みなんてどうでも良くなってしまうくらい、熱かった。
それを感じたら、浅く息をする余裕の無いローが、急に愛しくて堪らなくなって。
そっと彼の背中に手を伸ばし、目を閉じた。