第1章 DDD発売記念
「大事な話があるんだ」
と、翡翠の瞳に眉をひそめて、祈る様な気持ちの中、俺は、想いを、彼女に伝える。
彼女の反応はといえば、呆気に取られた様にしていたが、頬を少し赤く染めてから、柔らかく優しく微笑んだ。
「わたしもだよ、嬉しい」
玉砕覚悟だなんて、笑われてしまうと思うけれど、
彼女は俺よりも、ソラと仲良くしていた様だったから、もとより断られるとばっかり思っていた。
それじゃあ明日の正午、ふたりで食事へ行こう、美味しい店を紹介する。指切りをして、彼女を家まで送って帰った。
次の日の正午、約束の場所に行くと、彼女の姿はまだ見えなかったが、しばらくしてこちらへ歩いてきた。
「リク、こんにちは」
良い天気ね、と微笑んだ。
それじゃあ行こう、と手を差し出すと、彼女は少し戸惑ってから、俺と同じ手を差し出した。
それは、手を繋ぐ、ではなく、握手をするかたちになるのだが。
「緊張しているのか?」
「?どういうこと?」
間をおいて、ようやく理解してくれたのか、こういうこと?と、手を繋いでみせたが、恥ずかしいからいいよ、とすぐに離してしまった。
恥ずかしがることないだろ、すぐに慣れるようになる、と言っても、手を繋ぐのに抵抗があるのか、思うようにはいかなかった。初めは仕方ないか。
それじゃあ行くぞ、と声をかけると彼女は、今日はどこへ行くのと聞いてきた。
「昨日、あの後…約束しただろ」
「昨日?」