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ゲームはお好き?

第4章 友達


かなり毒舌な白川さんに助けて貰って早1週間

登下校中に昇降口に立っていても

休み時間に隣のクラスに行っても

比呂士に捕まえて貰うと頼んでも逃げられる

比呂士が言うには休み時間になった途端に何処かへ行ってしまうと言う

目立つ長い髪を持っていても人混みに紛れてしまえば

全く見つからない

体育の授業も違うし、移動教室でもすれ違う事すらない

屋上に行ってもいない

あの後、仁王を捕まえても知らんの一点張り

観念したかのように言えば小さい頃に会っていたと言う

今では全く会わないし、向こうもこっちを忘れていると言う

それでも私はどうしてもお礼を言いたかった

4時間目の授業を抜け出して屋上に来ていた

今日は呼び出しを受けずに此処へ来る

屋上は精市が育てた綺麗な花が見れるから好き

綺麗で可憐で、弱いのに強さがある

本当に精市みたいだ

病気で苦しんでいる姿でも私に優しく微笑んでくれる

儚い微笑みはいつしか綺麗な笑みへと変わっていた

それは病気が治り、全国大会と言う大舞台から降りた時だった

屋上庭園に設けられているベンチに腰掛けて瞼を閉じる

先週の話を聞いているとやっぱり忘れられない

あの濁った目には何が映っているのか

何が見えているのか、知りたかった

?「なら、その疑問に答えてあげようか?水島奈々さん」

水島「えっ!」

瞼を開けると前には人が立っていた

綺麗な水色の髪が太陽光に反射して眩しく

逆光のせいで表情をも読み取れないくらいにシルエットと化していた

水島「あ、あの」

『知りたいんだろ?この目に何が映って何が見えるのか?』

私が心の中で思っていた事がバレている

『言っておくが、独り言がダダ漏れだったよ』

クスリと笑う仕草が可愛く見えた

と言うか...

水島「あの、いつから?」

『そうだね。10秒前くらい』

私の前から離れて行き隣へ座る

同性なのにすごくドキドキしてる

『私は女だよ。正真正銘のね』

そう言って白川さんはポケットから学生証を渡して来た

それを見るとしっかりと性別の欄に女と書かれてあった

水島「ご、ごめんなさぃ...」

謝罪の言葉とともに学生証を返す

『スカートが好きじゃなくてね。それだけ』
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