第13章 5つ目
雑談で楽しんだ後に蓮二が本を開く
柳「!」
真「どうした蓮二」
柳「...氷月」
『何?』
蓮二が珍しく開眼しながら訪ねてくる
柳「これには絶対に従わないといけないのか?」
『基本的には』
柳「そうか」
と言う事は、何か条件でも書かれているのだろう
【次からは全体行動でよろしくね。理由はわかると思うけど、私の部屋に近づいているからよ。此処まで土足で踏み入れたもの、こちらまで来ないと困ってしまうわ。後、どれだけ白川氷月を隠そうとしても無駄だからね。彼女はいずれ死んでしまうから。ウフフ、楽しい余興はもう少しだけ進むわ。それまで全体行動でお願いね】
幸「全体行動か」
水島「じゃあ、私もこの部屋を出ていくの?」
『そう言う事になるね』
柳生「けど、氷月さんが...」
『問題ないよ。此処まで来て皆を裏切る事は出来ないからね』
比呂士の言っている事もわかるが
此処でこの部屋に残っていたら何が起こるかわからない
あの本に書かれてある言葉はアイツの言葉で間違いない
それに、この本に逆らえば何が起こるのかもわからない
だったら今は素直に従うしか生き残るチャンスが減ってしまう
水島「氷月、ごめんね」
奈々は私にしっかりと抱き着いてくる
肩に顔を埋めて少しだけ泣いているような声で言ってきた
毎回、誰かに抱き着かれると私は相手の背中に手を回す事が出来ない
ためらっているのは知っているが、何故ためらっているのかは不明である
自分の心情が全く理解出来ないのである
行き場のない両手は、自身を支えるためにベットに向かうのである
『大丈夫だよ』
しっかりと奈々に言い返せば
鼻をすすりながら首を何度も横に振る
仁「倒れる前に言うんじゃぞ」
『わかってるさ』
仁「ん」
雅治の大きな手が私の頭の上にポンと置かれる
皆の表情は真剣な眼差しと共に不安の色も灯っている
『雅治』
仁「なんじゃ?」
『私、その...』
仁「?」
『......』
この先の言葉を言うのが恥ずかしくて仕方がない
いつ言えるのかもわからないから此処で言おうと思ってたのに
仁「焦らんでもええ、待ってるぜよ」
『あ、うん』
雅治は私に微笑み、蓮二は本に目を落とす