第12章 4つ目
水島「氷月、此処で言うのも変かもしれないけどね、ありがとう」
『何が?』
水島「氷月って、私達の事なんがかんだ言って守ってくれたでしょ?何時も知るのは蓮二とか精市からなんだけどね」
『それで?』
水島「守ってくれてありがとう。私、すっごく幸せだったよ。だから、今度は氷月が幸せになる番だよ」
『幸せ?』
水島「うん、私の幸せを分けてあげる。だからね、此処から一緒に出よう?皆と遊園地行こう?水族館もショッピングも」
『無理、だよ』
水島「無理じゃない。私達なら出来るよ。絶対に出来る。私、信じてるもん」
『世の中そんなに甘くないよ?』
水島「いいじゃん。これは私達の夢だもん。甘くてもいいじゃない。後はそれを叶えるだけだから。氷月、お願い。もう1回、もう1回だけでいいから、私達を信じて」
抱いている腕の力が自然と強くなる
『信じる...』
水島「うん、お願いっ!氷月っ!」
目を細めて考える氷月
迷っているのは知っている、だから迷うのは今だけって
やがて静かに瞼を落とす
『わかった。1回だけ、信じてみるよ』
水島「ありがとっ!氷月っ!」
力一杯に氷月を抱きしめる
『あの、苦しんだけど』
水島「ダメッ!私、もうちょっとこのままがいいっ!」
仁「俺の氷月に手を出すんじゃなか」
雅治が私の肩に手を乗っける
水島「ムッ!さっき「嫉妬なんかするもんか」って言ったじゃんっ!」
仁「さっきはさっきじゃ、それに今は状況が違うナリ」
水島「絶対に渡さないもんっ!」
『全く...』
完全に呆れている氷月を腕に閉まったまま
私は雅治との口論を続けると
次々と参加者が増えていく
話していると段々馬鹿らしくなってきて
しまいには皆で笑ってしまった
氷月は笑わなかったが、微笑んでくれた
この幸せがずっと続けば良いと甘い事を望んでいる
だけどそれを現実にしたくて私は絶対に此処を皆で出るんだ
誰も傷つかずに、誰も死なずに
絶対に此処から出て皆と一緒に遊ぶんだっ!
受験勉強?そんなのは後だ後!