第5章 4人目♥地理 クロードセンセー
ゆっくりと瞳を開けると、あたしはフカフカのベッドの上に居た。
「…お目覚めか?お姫様。」
と隣で、同じように寝転んでいたセンセーと視線が絡む。
まだぼんやりしている視界の中で、センセーが微笑んでいた。
「このまま朝まで…と言いたいところだが、今日中にはお返ししますって、お前の母親と約束したからな。」
とセンセーは起き上がって身支度を始める。
そしていつの間にかハンガーに掛けてあった、あのドレスを掴むと、
「12時を過ぎると…魔法が解けてしまいますよ?シンデレラ…」
とフワリとあたしに手渡した。
12時になる前にあたしはセンセーに家まで送り届けられた。
(もう“お姫様”の魔法は溶けちゃうんだ…)
そう思うとなんだかすごく寂しかった。
車から降りると、
「明日、遅刻するなよ」
センセーの声が心なしか甘く聞こえる。
さっきまであの腕に抱かれてたと思うと、
胸がいっぱいで意識してしまってうつむいてしまう。
「心配するな、単位はやるよ」
「え…」
「おやすみ」
エンジン音が響く
センセーはそのまま華麗なハンドルさばきで車を走らせていった。
(たぶん、あたしが欲しかったのは単位じゃない…)
湧き上がる気持ちをふっきるように、あたしは家に入った…。