第2章 夢と現実
『あれ見て、野うさぎだよ』
私が野うさぎを指差しながらそう言うと嬉しそうに笑っていた、そしてその顔は少し赤くなっていた
『何赤くなってんの?中学生でしょ?これ位の距離でそんなんになってどうするの?』
とそう言うと
黙られた
『まあ、それはいいか...じゃあ行こうか』
今だに掴んでいた手を離して歩き始める
暫く歩いたあと私はある事を思い出し後ろを向く
『さっきの場所は他言無用だから』
威嚇のような声でそう言った
縄張りを荒らされないように威嚇している猫のように
それだけ言うとまた歩き始める
それからまた暫く歩いたところで校舎が見えた
『じゃあ、私はこれで』
『あ、待ってください!』
私が元の所に戻ろうと竹谷に背を向けた時、そう呼び止められ自分でもわかる位不機嫌そうな顔で振り向く
『ありがとうございました!あと、名前教えてください!』
私は少し黙った後
『葉月真依』
そう言って再び歩き始める、だがさっきとは別の方向...校舎に向かってだ
理由は1つ、叔父さんへ文句を言いに行くために...私にとっては1つのストレス解消だ
私は親を知らない
物心ついた頃にはもう叔父さんしかいなかったしお父さんも叔父さんだと思っていた
昔の事を思い出していると目の前はもう理事長室だった
『......逃げたか』
そう言って部屋に入る
だが、その部屋には誰もいなかったし机の上に一枚のメモがあったそのメモを見ると
“食堂も共有になったからよろしくね~
私はしばらく出張になったからその間理事長代理頼んだよ”
最後には不格好な星マークが書いてあった、本当そういうの下手だなと思いクスッと笑ったのだが、文をもう一度見直すと理事長代理と言う言葉にため息が出た
『またか...ホント、校長にでも頼めよ』
そう言ってその近くにあったエンブレムを制服に着ける