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もう一度

第4章 過去


私はこの学校によく来ていた、ここを見つけたのもその時だ
でもその時の私は当然、全てが幼かった
だから野原の端っこに近づいていき下を見た、その高さに恐怖を抱きその場から離れようとした時
片方の足が沈んだ、それは幼かった私でも崩れたんだとすぐにわかった
私は両手で崩れた所を掴んでいたが、岩が手に食い込んで痛かった
その痛みとこの恐怖から涙が出た、助けてとも言えずただ静かに泣いていた
それからしばらくして、腕に力が入らなくなってきてついには右側の手を置いている場所の岩が崩れた
もうダメだ、とそう思った時
誰かに引き上げられた
それは、叔父さんではなく知らない人だった本当は初めての人は怖かった、それでも助かったという安心感からまた涙が溢れてきてその人に抱き付いた
私を宥めるその声と背中を擦る手が優しかった、その温もりもまだ覚えている
そう昔の事を思い出していると気が付けば、あれからかなり時間がたっていた
私は急いで寮に戻った、だが...表から行ったらきっと怒られるだろうと思い、裏に回って明かりの付いている部屋の窓をコンコンと軽く叩いた
するとすぐにカーテンと窓が空いて見慣れた顔の子が立っていた
『あ!葉月先輩!』
それは、食堂で会った子だった
『あぁ、君か...ちょっと失礼するよ』
そう言って窓から部屋に入ると他の二人もいた
『葉月先輩どこ行ってたんですか?僕達探してたんですよ?』
八重歯の子にそう言われ私は不思議と心が温かくなった、でも私はちょっとねと曖昧な返答をした
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