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第10章 格闘(ヒロインside)


風呂から出た後、エミは紅茶を淹れる。

いつもならリヴァイと2人分を淹れるが、今は1人だ。

椅子に座り心を落ち着かせる為に紅茶を飲む。

非番なのに兵舎を出る事を許されない。

これではまるで牢屋に閉じ込まれた囚人みたいだ。

ため息をつきながら目の前にあるテーブルの上に置かれた本の山。

これには調査兵団の皆の優しさが込められている。

1番上に置いてあった本を見ると表紙に何かが挟まれていた。

そこには見た事がある字が綴られていた。

「兵長の字…?」

そして読んでみるとエミは驚いた。

その内容は

『王は本物の王では無い。
エミを迎えに行く時に全て分かる筈だ。
それまで今の王の指示に従え』

伯父が王である事は確かに変だったので、漠然とではあるが意味が分かった。

リヴァイが言いたい事…

それは今の王を引きずり下ろす事だろう。

エミにとっては複雑な気分ではあったが、本物で無いのであれば許される事ではない。

ただ民衆の前で処刑をする事は出来ない。

ならばどうするのか…

エミは少し考えるとある事を思いついた。

(本物の王を探せばいい)

そう思ったもののどうやって探せばいいのか。

確実に言えるのは中央には居ないという事だ。

非番の日は兵舎外に出る事を許されていないので探す事が出来ない。

探すには調査兵団の幹部に任せるしか無かった。

自分が与えられた役目はとりあえず王の元に居る事だ。

調査兵団に関しては自分が所属していた為、徹底的に調べられているであろう。

他の兵団と接触する事が出来ない為、他の皆に迷惑をかけるしか無かった。

連絡のやり取りでさえ許可が下りてないのでエミは何もする事が出来ない。

自分の役立たずぶりに腹が立った。

また皆に迷惑をかけてしまう…

それでも自分の事を思って必死で連れ戻そうとしてくれている…

どういう形の作戦を考えているのか分からないが、きっと壮絶な事になるだろう。

中央に居た所で何が出来る…

こんな平和ボケした兵団に居る事が兵士だと言えるのか?

まだ2日しか経っていないが兵士を見ていると、昼間から酒を飲み遊んでいる。

エミからしたらあり得ない光景だった。

もう逃げ出したい気持ちで一杯だったがどうにか我慢した。
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