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第10章 格闘(ヒロインside)


幹部達が部屋を出た後、またしてもポーカーに付き合わされた。

「強いのぉ。
どこかでポーカーでもしていたのか?」

「いえ、ただの趣味です。
しかし王も十分お強いですよ」

エミは無表情でトランプの束を纏める。

明日は非番だ。

自由に動けると考えると嬉しいが、果たして兵舎から出る事は可能なのだろうか?

「あの1つ聞きたい事があるんですが宜しいでしょうか?」

「なんだ?」

「非番の日はこの兵舎から出る事は出来るのでしょうか?」

「それは許せん」

王は即答した。

「お主は側近で特別な存在だ。
それにわしの居ない所で何をするか分からないからのぉ。
疑うつもりは無いが、側近である以上わしの目が届く所に居なければならない」

「そうですか…」

残念そうに答えるエミを見た王は気になった事を問いかけてきた。

「ずっとこの兵舎の中で過ごすのは辛い事じゃ。
他の兵士は許可を出しているが、お主には許可は出せん。
もしわしの居ない所で中央以外の兵士と接触したらどうなるのか分かっているのじゃろうな?」

その言葉はかなり冷たいものだった。 王は自分の正体がバレる事を恐れている。

エミは口が堅い方だが、王の様子を見ている限りでは彼女を多少は疑っていると感じた。

「もう夜か。
今日はもう下がって良いぞ。
部屋でゆっくり休みなさい」

「分かりました。
それでは失礼します」

エミは敬礼をした王の部屋を出た。

明日は特別に非番を貰えたが、兵舎から出る事を許してくれかった為憂鬱になった。

夕食時は相変わらず嫌味な言葉の嵐だ。

エミはいつも通り直ぐに食事を済ませ自室に戻った。

明日は暇になりそうだ…

そう思ったときにふと思い出した。

テーブルの上に調査兵団の皆から貰った本が置いてある。

大量に…

これを明日読んで暇つぶしをしようと考え、エミはお風呂に入った。

湯船にはリヴァイが買ってくれた入浴剤を入れた。

この匂いは大好きだ。

リヴァイの言っていた通り、父やリヴァイの事を思い出す。

これが無くなった時、調達するのは難しいであろう。

エミは目を瞑る。

脳裏に焼き付いている父の姿とリヴァイ。

昨日別れたばかりなのに、会いたい衝動に駆られた。

今頃皆は何をしているのだろう。
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