• テキストサイズ


第16章 幸せ


そう気遣ってくれる彼女の言葉がリヴァイは嬉しかった。

「勤務が終わったら直ぐに帰ってくる」

「そういえば!」

エミは何か思い出した様に言った。

「壁外調査前のあれはするんですか?」

「あれか…
さすがに今回からは断る」

「でも兵士の士気を上げる為にもしてあげた方が良いのでは…?」

困った顔をして言うとリヴァイは頭をポンポンを叩いてきた。

「馬鹿言え。
俺はもう結婚した身だ。
それを口実に断る」

「でも団長はそれを許してくれるでしょうか…」

「エルヴィンが許さなくても俺は断る」

「リヴァイらしいですね」

エミがそう答えるとリヴァイの眉間に皺が寄った。

「どういう事だ?」

「リヴァイは兵士長ですから皆の憧れです。
いくら結婚したと言っても誘いはある筈ですよ?」

「気にしなくて良い。
俺はお前以外絶対に触れたくない」

「補佐だった私だって大変でしたから、断るのはもっと大変ですよ?」

「もし士気が下がる様だったらきちんと説明する」

「ではその時はきちんと柔らかく説明して下さいね」

苦笑いして言うとリヴァイも苦笑いした。

「それはオブラートに包めって事か?」

「勿論です!」

「…お前、エルヴィンに浸食されたか?」

その言葉にエミは思わず笑った。

「確かに団長と同じ事言ってますね。
でも、本当にそうしないとリヴァイは柔らかく言っているつもりでも風貌で威圧感を感じさせてしまうので大変です」

「そうか?」

「そうです」

自覚が無いリヴァイにとって謎だらけだった。

そんな話をしているといつの間にか夜になっていた。

「そろそろお腹空きましたね」

「そうだな」

「何か作りましょうか」

そう言いながらエミは立ち上がると冷蔵庫の中を覗いて驚いた。

「いつの間にこんなに食材を用意されたんですか?」

「モブリットにリストを渡して入れておく様に言っておいた」

「…絶対リヴァイもモブリットさんをこき使ってますよね」

「ハンジの相手が出来るぐらいだ。
そのぐらい出来るだろ」

「いや…そういう問題じゃないと思いますが…」

呆れながら言うと適当に野菜や肉を取り出した。

「これだけあると暫くは買い物に行かなくて済みますね」

エミは鼻歌を歌いながらご飯を作り始めた。
/ 163ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp