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第16章 幸せ


兵舎から持ってきた荷物を整理し始めてから終わったのは30分もかからない時間だった。

「今日はどうされるんですか?」

「今日はここで寝る。
明日からは壁外調査の準備があるからなるべくは帰ってくる予定だが、遅くなるかもしれん」

「分かりました」

そう言って備え付けのソファーに座るとリヴァイも横に座ってきた。

「ここだと誰にも邪魔されないな」

「そうですね」

微笑みながら答えるエミを見てドキッとした。

兵舎でも毎日彼女の笑顔を見てはいたが、2人きりの家で見る彼女の顔は凄く愛らしかった。

そして思わずキスをする。

誰にも邪魔をされる心配が無かった為、今までに無い濃厚なキスをした。

少しして唇を離すとエミの顔は真っ赤に染まっていた。

キスだけで顔を赤くする彼女が可愛い。

リヴァイはひょいっと彼女を持ち上げると自分の前に座らせて後ろから抱き締めた。

「邪魔者が入らないか気にしないでいれるのは良いな」

「そうですね」

エミは体を完全にリヴァイに預けた。

それを離さない様にお腹を避けて胸の辺りをギュッと抱き締めた。

「今度の壁外調査はかなり遠方にまで行きますね」

エミが呟くとリヴァイはため息をついた。

「しょうがない。
エルヴィンが決めた事に従うのが部下の役目だ」

そう言うといきなりエミからキスされた。

「無事に帰って来れる様におまじないです」

微笑む彼女を見てリヴァイも微笑む。

「リヴァイの補佐になってリヴァイ班に入った時、正直不安でした。
そして壁外に行き突然記憶が無くなる…
帰還する度にいつも私は何をしていたのだろうと思っていました。
でも、それを解決出来たのは団長とリヴァイのおかげです」

「エルヴィンと俺か?」

「そうですよ。
私を中央に行かせて下さったおかげで解決出来たんですから。
なので、今度は私が頑張る番です」

リヴァイは何を言っているのか分からないでいるとそれを察知したエミは頬をつねってきた。

「出産です!」

「そうだったな」

少し怒った様子で言うとリヴァイは笑った。

「そう言えば壁外から帰ってきたら暫くここに帰って来るのは大変じゃないですか?」

「確かに報告書の嵐が待ち受けているな…」

「無理をなさらずに兵舎で寝て構いませんからね」
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