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第16章 幸せ


エミが退団する話は他の兵士達にも言わなければならない。

突然兵士長補佐の姿が無くなるとまた中央に行った時の様に演習中に怪我人が出る。

リヴァイからエミが中央に居た時の演習の酷さを聞いていたので、エルヴィンに頼んで自分から話す事にした。

そしてちょうど昼食を取る時間になったので兵士達には急いで来る様に伝えた。

全員が揃うとエルヴィンはそっとエミの背中を押した。

「急いで集まってくれて有難う。
今日決まった事なんだけど、明後日、私は退団する事になりました」

その言葉に驚いた兵士達は同様を隠せないでいた。

「本当にいきなりの事でごめんなさい。
でも凄く大切な事なの。
私のお腹には子供が居る事が今日分かりました。
生まれて来るこの子や兵長、皆の事を考えるとこの兵舎ではとても育てる事は出来ない…
だから一時退団します」

そう言うと1人の兵士が質問をしてきた。

「完全に退団では無く、一時…ですか?」

「うん。
私は兵士である以上ここに帰ってきたいって思ってる。
だから、ある程度子供が育ったらまたここに帰って来たい。
また皆と一緒に居たい…
だから…だからね…」

そこまで言うとエミは言葉を詰まらせた。

その様子にリヴァイが頭をポンポンと叩いて安心させてくれたので、頑張って話を続ける。

「どうか私が戻って来るまで、皆死なないと約束して。
私にとって皆は大切な仲間でずっと共に戦いたい。
皆の笑顔が好きだから…
だからまた会う時は笑顔で会おうね」

そう言って目を腫らした顔で笑顔を皆に見せた。

「お前ら、またエミが居なくなったからと言って演習中の集中力を欠く様な真似だけはするなよ。
前にも言った事を忘れたとは言わさねぇぞ」

リヴァイはエミの横で眉間に皺を寄せて忠告すると兵士達の緊張感が伝わってきた。

これが兵士長であるリヴァイの姿。

そして元ゴロツキであるせいか目つきがかなり怖い。

笑顔を見せるエミと睨みを利かせるリヴァイが横に並んでいる様子は傍から見たら変かもしれないが、これでも夫婦だ。

エミはリヴァイがどんなに怖い顔をしても臆する事は今となっては無くなっていた。

それだけリヴァイの事を愛していた。

だから退団する。

リヴァイだけでなく兵士達の事を想って。
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