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第16章 幸せ


また少し間が空いた。

「もし退団を断ってもまた命令ですよね…?」

「そうだね」

エルヴィンの返事を聞いてエミは俯いた。

「でも1つ考えはある」

その言葉を聞いて顔を上げるとエルヴィンは笑顔で話した。

「もし子供が生まれて授乳時期が終わればベビーシッターに預けて服役するという手もある。
またここに戻ってきたいという気持ちがあればね」

「エルヴィン、もし服役したとしてもここは調査兵団だぞ。
死ぬリスクが高いだろ」

「エミの事は君が1番知っているだろう」

呆れた様にエルヴィンが話すとリヴァイは反論した。

「この兵団は壁外に行くんだぞ?
心配無いかもしれないが可能性はゼロでは無い筈だ」

「分かっているよ。
でもそれを決めるのは彼女自身じゃないかな?」

そう言われてリヴァイは口を閉じた。

「エミ、今は先の事は考えなくて良い。
君にはリヴァイとお腹の子供が居る。
もう君は1人じゃないよ」

それを聞いてエミの目からはどんどん涙が溢れ、床に落ちていた。

「例え兵団から離れても私達は生きていれば会う事が出来る。
リヴァイが帰る家を作ってあげてくれないか?
これは私の頼みでもある」

優しく微笑むエルヴィンを見てエミは心を決めた。

「分かりました。
それでは一時退団します…」

そう言うとエルヴィンは納得した様に新しい紙を1枚彼女の前に差し出した。

それを受け取ると退団願いの文章を書きエミはサインをした。

「とりあえず退団は明後日が良いだろう。
1週間後には壁外調査だからね。
リヴァイ、直ぐに家を探せるか?」

「もう確保している」

エミが驚いてリヴァイを見ると相変わらず眉間に皺を寄せている。

「こんな事があるだろうと思って予め用意していた」

「兵長…」

「リヴァイは相変わらず手を打つのが早いね」

「てめぇ程じゃねぇがな」

するとリヴァイはエミの手を掴むと「行くぞ」とだけ言って部屋を出た。

執務室に戻るまでの間2人は沈黙していた。

リヴァイはエルヴィン程では無いが、状況判断は早い。

部屋に着くと2人は中に入ってソファーに座った。

「リヴァイ…分かってたんですか?」

「何がだ」

「妊娠です」

「お前の体は熟知しているつもりだ」
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