第15章 変化
その言葉を聞いてポカンとしたエミの隙をついてリヴァイは一気に横に来た。
「だから、何故そんなに離れたがる」
「前にも言ったじゃないですか…」
隙を突かれた事に自分自身呆れながら口元までお湯に沈むとブクブクと息を吐く。
その様子を見てリヴァイは悪い気はしなかった。
むしろ愛しさが増すばかりで思わずにやけてしまう。
「お前って奴は…」
わざとため息をつきながらリヴァイが呟くとエミは目だけリヴァイの方に向けた。
「精神年齢はガキだな」
「なっ…!」
反論しようとエミは思わず立ち上がってしまい、ほぼ全身を見せる形になってしまった事を直ぐに察知してまた湯船に潜った。
恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。
「そろそろ出ないとのぼせるぞ」
「お先に出て下さい」
そう言ったのにも関わらずリヴァイはエミの腕を掴みそのまま浴室を出る。
「だから裸ですってば!」
「服を着たまま風呂に入る奴はいねぇだろ」
「そうじゃなくて恥ずかしいんです…」
「お前の裸はさっき見た」
相変わらずの様子にエミは諦めるしか無かった。
私服に着替え終えるとまた頭をタオルでガシガシと拭かれる。
「今日はちゃんと拭きましたよ?」
「どこがだ。
水滴がまだ落ちてる」
「少しぐらい良いじゃないですか」
「駄目だ」
完全にリヴァイのペースに乗せられている。
エミがされるがままになっている事にリヴァイは優越感に浸っていた。
一通り拭き終えるとやっと解放された。
「そういえば」
それだけ言ってエミは風呂に入る前に脱いだジャケットから以前リヴァイから貰ったクラバットを取り出した。
「これをお返しするの忘れてました」
それを見たリヴァイは受け取ると眺めている。
「どうかされました?」
黙ったままでいる目の前の人を不思議そうに見るとリヴァイは驚いている様だった。
「ずっと持っていたのか?」
「はい。
ここに帰ってきてからずっと忙しかったですし、返すのを忘れていました」
苦笑いしながら答えるとリヴァイは微笑んだ。
「中央でこれ見ながら寝ていたのか」
「な…何で知ってるんですか!?」
「図星か」
やられた…
またしても項垂れるエミを見てリヴァイは笑った。