第3章 帰りたい場所と描く未来
『リンちゃんは、本当元気ですね。』
リビングからかおをだしてきた1人の奥さんがクスっと笑いながらリンの母親に話しかける。
『元気すぎよ。一学期が終わって夏休みだからって急いでカバン置いて出かけるなんて、小学生みたいなこと高校生になってもやってるんだから。』
『大きくなりましたね。高校一年生でしたっけ?』
『えぇ。。』
『今年は神楽巫女にも選ばれたんでしょ?』
別な奥様がたも話しかけてくる。
『まぁ、たまたまですよ。』
『何いってるんですか、外見だけでなく、社会貢献や頭の良さも評価されるんですよ。』
『リンちゃん、まちの老人福祉施設によくボランティアにきてくれてますよね。うちのおばあちゃんがいってましたよ。』
『港のでもよく勉強のために、っていって手伝ってるらしいじゃないの』
『自慢の娘さんじゃないの』
『そうね……』
次々と娘を褒められ、嬉しいのだが、
どこかさみしい気持ちである母親。
ペラりとめくった成績表は『5』の数字が並ぶのが見えた。
『本当に真っ直ぐ育ってくれたわ…。
このまちにもったいないくらいの子に…。』