• テキストサイズ

闇の底から

第1章 3月9日


「え、東條先生って下の名前 輝だったんですか?」
知らなかったーと目が点になっている凜、程なくしてその視線が手のひらに落ちる。
玲に目配せされた輝はそばに寄り、スマホの画面を見せられた。メールの主は凜の受験票を託した拓真だった。
『受験番号80542 相楽凜さん合格です!!写真添付しておきますねー。書類持って病室伺います*\(^o^)/*』

「凜、大事なこと忘れてない?」
問いかけてみると食い気味に
「そうなんです私思い出せないことがたくさんあって、大きな落し物をしたみたいな気分で…あーーー!!!不合格発表は…ネットで見ようか…予備校決めなきゃ銀行行かなきゃ学校に報告しなきゃ…あ、後期の勉強しないと。はぁ…ほんと、後輩に合わせる顔ない。先輩に報告して、大学入って軽音入って、チューターやって…とか考えてた私ほんとめでたすぎる。」
息継ぎなしに叫んだり呟いたり一人百面相を繰り広げる凜に笑いの臨界を迎えたのは玲が先だった。

フワッと凜を抱きしめ、頭を撫でる玲。


「そういえば家に連絡してないや!」
新聞記事の切り抜きが輝の手の中でクシャリと軽い音を立てた。
/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp