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闇の底から

第1章 3月9日


421号室、四人の名前の中に凜の名前を確認して輝は足を踏み入れた。
「よぉあきら、遅かったじゃねえか、お姫様がお目覚めだぜ?」男顔負けのイケメンと称される玲が長い足を組んだまま椅子を回して振り返る。
「れっ玲さん…ひ、ひ、姫ってからかわないでくださいよーもうっ私が姫なら玲さんは女王クラスですよー」照れている凜からは輝はカーテンが邪魔で見えていない。
「あ、あきらさん、て私を助けてくださった方ですか?」
「そうだよ凜。あんたそんな格好でいいのか?相手は男だぜ。そんな色っぽい格好見せていいのかよ?」
輝は玲の言葉に心中穏やかでない。一体凜のやつはどんな格好をしているというのか。わずかな衣擦れの音が耳に入ってくる。やめろ考えるなーと自分に言い聞かせる。
そんな輝の心中を知ってか知らずしてか、僅かに笑いを含んだ玲の入室許可が下りてカーテンの中に踏み込む。

そして息を吸い込み、吐く。
顔を上げると凜と視線が絡んだ。綺麗な二重瞼の下で双眸が見開かれる。
そんな凜を愛おしいと思う気持ちが心を満たしていく。


「久しぶり」
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