第1章 ~PROLOGUE~
副長補佐になった、あいつをいつまで立っても、部屋から出ようとしないから、無理矢理、部屋に連れて行った。
総司の奴。面倒な事を押し付けやがって。
しかも、俺はあいつに随分と嫌われているようだ。
あいつは、ここはまだ広い部屋なのに、はしっこのすみで、小さくなっている。
まるで、拾われてすぐの野良猫みたいだ。
俺の事を警戒しているのか、チラチラとこちらを、見ている。
雅紀「あ、あの…」
急に、あいつの声が聞こえた。
しっかり聞いておかないと、聞き落としてしまいそうな、小さいく控えめな声。
姉貴がいないのが不安なのか、ただたんに、俺が怖いのか、いや。両方だろう。
ちらっと、書類をする手を止めてあいつを見る。
多分、あいつは気づいていないだろうが、小刻みに震えていた。 声も、震えている。
土方「なんだ。」
雅紀「えっと…ふっ、副長補佐って…何をするん…です…か?」
土方「あー。何もしなくていい。」
雅紀「え? そ、そんなのダメ…です。その…ここに置いてもらっている以上は、何か、さしてください」
驚いた。
まさか、そんな事を思っていたとは…
思ってより、しっかりしてそうだな。
土方「はぁー なら、書類の整理を教えるから、頼めるか?」
雅紀「あ、はっ、はい。」
ースパンッ
そんな音を立てて、急に襖が開いた。