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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第12章 【縁下力】それでもやっぱり


不意に彼の声が耳に入る。

「お疲れ様でした!!」

部活終わったのかな。
彼に早く会いたいけど迷惑になるから
体育館のドアからそっと中を覗く。
その為に半歩体育館に踏み入れた。
それだけでブワッと一気伝わってくる熱気。
凄い。外と中じゃこんなに差があるんだ。
どうりで彼らが薄着の訳だ。


感心しながら辺りを見回していると
同じクラスの田中と目があってしまった。
やばい。厄介なやつと目が……



「おい、じゃねぇか!!どうした?そんなとこで何やってんだ」
「いや、別に……何も?」

そう言いながら縁下の方へ視線を向ける。目が合うと彼は困惑の表情を浮かべた。彼女も同じく。その様子を見た田中は不審に思ったのかいきなり考え込み始めた。ゴクリと息を呑む。

アイコンタクトが悪かったのか痛いところを突かれた。

「縁下とって仲いいのか?」
「ま、まあね!!」


付き合ってることがバレたかと思い
一瞬動揺してしまった。
そうだ、違うクラスだから縁下くんとはあまり関わりがないと思われているのだ。

彼の友達もしれただけで田中から質問攻めにされる。面倒くさいので適当にあしらった。


「はいはい、ばっか言ってねーでまともに答えろよ!!」

適当な返事に嫌気が差したのか切れた田中。そのせいか少しはビビリ気味になる彼女。それを見た縁下が止めに入る。


「もう、そこら辺でやめろ、田中、が困ってるだろ」
「そうだよ、そんなに質問しなくったっていいじゃん!!バーカ」
「バーカってなんだ!!バーカって!!俺は馬鹿じゃなくて元気アホなんだよ!!」
「自分で言う、普通」

そんな会話に溶け込めない縁下はと田中の痴話喧嘩を仲裁した。

「やめろ!!二人共!!は外で待ってろ田中は練習に戻れ」
「はーい」
「うす、……?……外で待ってろってどう言うことだよ」
「あ"……」

しまったと言う顔をした縁下に呆れた表情で戻った道の方へ振り向いた。不穏な空気が流れた。
これは嫌な予感しかしない。彼女はハァと一つ大きなため息をついた

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